吉井勇は、芝高輪で伯爵家の次男として生まれたが、少年時代から歌を好み「明星」などに投稿。その後は、京都祇園の世界など艶麗な世界を歌った歌人で劇作家でもあった。資料には昭和7年に下二番町に転居とあるが、その詳細は不明。その時期の前後には妻との別居問題などがあり、昭和10年からは土佐に陰棲しているので、一時的な居住と思われる。ただし、水上瀧太郎が自分の住んでいる家について書いた『元禄屋敷』という随筆の中で、「同町内には泉先生がいる、有島生馬さんがいる、里見とんさんがいる、吉井勇さんも引っ越してきた、隣町には小村雪岱さんもいる、何かにつけて心丈夫だ。」と記している。これは、「三田文学」の昭和6年8月号に掲載された文であるから、少なくとも昭和6年前半以前に越してきたものと思われる。同町内というのが住んでいた下六番町をさすのか、番町全体をさすのかによって、吉井勇の越してきた場所も違ってくる。
ジャンル | 作家・歌人 |
ゆかりの地(旧) | 下二番町 |
ゆかりの地(現) |
※ゆかりの地での(旧)は旧地番を表記し、(現)とはその場所の現行地番を示しています。
また、現行地番からのリンク先(既成地図ソフト利用)は、あくまでも「その周辺」とご理解ください。
参考文献: